おでんがコンビニから消えたことを
恥ずかしながら知らなかった
ドアを開けるといらっしゃいませ おだしのにおい
恋愛とスポーツを同じ熱量で
語っていたいつかの冬を思い出す
記憶のトリガー おだしのにおい
大根ひとつだけでいつまでも
湯気のような会話をしていた
忘れたくないことはすっかり忘れて
忘れてもいいようなことが
いつまでも忘れられない
恋愛とスポーツを同じ鍋で
煮込んでいたいつかの冬
染み込む前の若さに湯気が立ちのぼる
物思いにふける材料がなくなって
煮詰まった日々を食べていく
さようなら
いつかのおだしの記憶
さようなら
湯気のような青春の匂い
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